2007年01月28日
第1報:フランス矯正歯科学会・継続教育コースでの招待講演
フランスの矯正歯科学会では、今年から国内外から講師を招いて会員向けの継続教育コースを開始することになったとのことで、その皮切りとして私が招聘されました。(図1)
図1 プログラム
私は、昨年12月31日に34年間勤務した東北大学を早期退職し、親戚の歯科一番町(桃野秀樹院長)にSAS矯正歯科センターを併設させていただき、1月 9日から勤務し始めました。センターの立ち上げ準備に追われていたことと、大学を辞めてから初めての海外招待講演であり、加えて一日講演であったことか ら、気苦労(プレッシャー)も含めて何かと準備が大変でした。講演前日の1月27日に仙台を離れ、成田からエア・フランスでパリに向かいました。パリは2005年9月に世界矯正歯科学会(WFO)でアジア代表Champion Lecturerに選ばれ講演をした思い出の都市だったので、勝手知ったる何とかで空港バスに飛び乗ってホテルに向かいました(図2)。
図2 花の都パリ
ホテルは凱旋門のすぐ目の前にあるHotel Splendid Etoile。豪華ではありませんでしたが、とても落ち着きのある古い小さなホテルで、とても気に入りました。招待側のフランス矯正歯科学会の学会長であるDr. Olivier Mauchampが、一緒に夕食を取ろうということで夕方7時にホテルに迎えにきてくれました(図3)。
図3 Olivierと私
土曜日の夜で込み合うレストランには、もう一人フランス矯正歯科学会の重鎮Dr. Pierre Planche が先にきていて三人でワインを飲みながら楽しく食事をしました。Olivierはスキー狂で、「日本では良いスキー場があるのか?」「お前はスキーをやるのか?」「俺はオリンピック金メダリストのキリーと知り合いだぜ」とか、何かと言えばスキーの話になっていたました。私のスキーに関する話題と言えば、随分前にスキー中に崖から落ちて、エッジで右頬に骨まで達する傷を負い、マフィアまがいの迫力のある顔になったと自慢するぐらいでした。
翌28日は朝8時過ぎから、ホテル近くの会場で講演が始まりました。その時もOlivier自らが迎えにきてくれました。どこかの国だったら、きっと部下の若者が使いやってくるのにと、すっかり感心してしまいました。会場には、各地の大学教授や年配の矯正歯科医などそうそうたるメンバーが約30名集まっていました(図4)。
図4 会場風景
講演は私が英語で話をして、それをアラン・ドロンばりのハンサムなフランス人の通訳(矯正歯科医)がフランス語に逐次通訳するという形式で進められました。テーマは、私たちが開発したSkeletal Anchorage System (SAS) についてでしたが、冒頭にどれほど経験者がいるのか知りたくて質問したところ、ミニスクリューがちらほら、ミニプレートに至ってはほとんどおりませんでした。フランスでのインプラント矯正はまだ黎明期のようでした。
講演は、昼食やコーヒーブレイクをはさみながら夕方6時過ぎまで続きました。皆さん熱心に聴講してくれましたし、山ほど質問を浴びせられました。とりわけOlivierが最前列で、一度も居眠りをすることもなく、食い入るようにスライドを見つめ、先頭を切って質問をしていたのが最も印象的でした。彼は65歳で短躯。しかし、スキーで鍛え上げられた身体は見事で、フランス矯正歯科矯正学会のリーダーとして責任感に満ちあふれていました。本当に素晴らしい。また自分のロールモデルになるような人物と知己になれました。今回の旅の最大の収穫でした。
