2007年06月10日

第10報 口腔成育シンポジウムでの講演

仙台口腔成育シンポジウム・ファイナルが6月2・3日に仙台弁護士会館において開催されました(図1)。主催は仙台を中心にした歯科医グループで、今年は5年間限定開催の最終年ということでファイナルと銘打っていました。口腔成育とは、子どものバイオ・サイコ・ソーシャルに関わる包括的歯科医療や支援を意味し、子どもの継続的なお口のケアを通じて心の発達(セルフケア確立や自立)にも寄与することを目的としています。そして自分たちの身体や心を大切にしようとするマインドが次世代に継承されることへの期待もその中に込められています。

図1 代表挨拶

 

現在、少子社会でのコミュニケーション不足、親の育児力の低下など、子どもの成育環境における様々な問題がとりざたされています。歯科医は子どもに接する機会が多いことから、地域専門職ネットワークの一員として、その問題解決に向けて少しでも貢献したいということも動機の一つになっています。とりわけ矯正治療の場合、ドクターが子どもたちの顎成長が終了するまで、激動の思春期も含めて、長期間おつきあいすることが多いことから、単に歯並びや噛み合わせを改善するという生物学的な対応にとどまらず、子どもの成育に関わる心理・社会学的知識を身につけていることが必須と考えられています。
今回のシンポジウムでは、平木典子先生「家族理解に役立つ家族システム理論」(基調講演)、佐々木洋先生「口腔の成育をはかるということ-時空をつなぐ成育支援マインド-」、村松いずみ先生「かかりつけ医をもつということ、かかりつけ医であるということ」、布柴靖枝先生「バイオ・サイコ・ソーシャルの統合をめざす口腔成育に期待するもの-歯科医療者が臨床心理学的視点をもつこととは?」、池森由幸先生「社会に共感をもって受け入れられる矯正歯科医療を求めて」、富永雪穂先生「成長期の矯正歯科治療における選択と優先順位」、伊藤智恵先生「不正咬合をシステムとしてとらえたアプローチ–口腔成育は統合的ヘルスケア-」、そして私の「口腔成育の一環として矯正歯科医療をとらえる-長期経過した再治療症例から学んだこと-」という講演がありました。

 

 

図2 ディスカッション 

  私の講演では「矯正治療がバイオ・サイコ・ソーシャルに関わる包括的歯科医療であることは理想である。しかし、プロフェッショナルの必要条件は、再治療例(失敗例)をなくし、治療の質を保証し、確実で安全な標準治療を確立する努力を怠らないことである。そのためには再治療例から多くを学ぶことできる。」ことを強調しました(図2)。
口腔成育の実践には多大な時間と労力を要するも、医業収入には直結しないことから、必ずしも多くの歯科医の賛同が得られているとは言えません。しかし、口腔成育によって多大な患者利益がもたらされ、かつ歯科医療の本質をとらえていることから、それが今後の医療として定着することを切に願っています。最後になりましたが、向山雄彦代表ならびに口腔成育研究会メンバーの皆さま、5年間の活動お疲れさまでした。

投稿者 菅原準二 : 2007年06月10日 08:33

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.duna.jp/~junji-sugawara/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/29

コメント

コメントしてください




保存しますか?