2007年05月02日
1.情報不足
にわかに矯正歯科が慌ただしくなってきた.平成7年4月から,児童生徒を対象にした学校歯科健診の内容が改正され,「歯列・咬合・顎関節」が新たなスクリーニング項目として設けられたからだ(宮城県では平成八8年から実施).わが国の歯科保健活動は,これまで虫歯や歯周病を中心とした疾病対策に重点が置かれていたが,虫歯の減少という疾病構造の変化にともなって,ようやく矯正歯科が目的とする「健全な歯・口腔(こうくう)の育成と生涯維持」に目を向けるゆとりが出てきたと言えそうだ.しかし,一方では,矯正歯科に関する情報が不足しているせいか,学校歯科健診の事後措置をめぐって現場では多少の混乱も生じている.
街で「矯正歯科」の看板を目にした方も多いと思うが,一体何をする診療科なのか,普通の歯科とどう違うのか,実際のところはあまり知られていない.一般の 人々に尋ねると,ほぼ例外なく「格好悪い歯並びをきれいにする歯医者さんのことでしょう」と返ってくる.間違いではないが,どうも,エステティックにかか わる歯科というイメージが浸透しているようだ.事実,見かけを気にしてやってくる患者さんがきわめて多い.ひとえに女性誌などメディアの影響と私たちの情 報提供不足によると思われる.そこで,最新の「矯正歯科」について,皆さんにもう少し知っていただき,診療を受ける際の基礎知識にしていただければと思 い,このコーナーをしばらくお借りすることになった.今回は,シリーズの初回なので,「矯正歯科」の概要を紹介しておきたい.
「矯正歯科」という表示が可能になったのは,独立した診療科目として認められるようになった昭和53年からだ.自由標榜(ひょうぼう)制なので,日 本の歯科医師免許を持っていれば誰でも看板に掲げることができる.しかし,このような専門の診療科目を表示している歯科医のすべてが,高度化している医療 技術に対応できるのかという疑問が生じたため,専門医の資格が必要であるという方向で厚生省などで協議が行われている.
それに関連して,日本矯正歯科学会は,国民に適切な医療を提供することと,医療水準を維持するために,昭和64年から認定医制度を発足させた.しかし,現 行の医療法では認定医や指導医であることを看板などに表示することができないため,患者さんには分かりにくいし,せっかくの制度が十分に活用されていない 状況にある.この問題についても現在検討されているところである.
投稿者 菅原準二 : 2007年05月02日 17:05
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