2007年04月01日

第4報:アングル矯正歯科学会の年次例会に出席

The Edward H. Angle Society of Orthodotists、すなわちアングル矯正歯科学会は、近代歯科矯正学の父と呼ばれているE.H.Angleにちなんで設立された学会です。East, Midwest, North Atlantic, Northern California, Northwest, Southern California, Southwest という7つの支部に分かれており、企画運営はそれぞれの支部が独自に行っています。2年に1度、全体の集会があります。 

アングル矯正歯科学会の場合、通常の学会と異なり誰でも自由に会員になることができるわけではありません。会員資格は、支部ごとに定められた審査基準に合格した者だけに与えられています。ちなみに、私が所属しているNorth Atlantic Componentでは、1)正会員2名の推薦、2)例会での研究発表、3)例会での症例報告が必要で、正会員による審査を経て正会員になることができます。正会員になった後も、3年に1度は例会での発表が義務づけられています。私は、Prof. Ravindra NandaとProf.Charls J. Burstoneの推薦を得て、2003年ラスベガス例会にゲストでの参加を許され,翌2004年アムステルダムでの例会で正会員になりました。支部によっては、外国人(アメリカ人以外)の加入を厳しく制限しているところもあるようですが、North Atlantic Componentの場合には、at largeとして20名の外国人が正会員として受け入れられており、日本人は私を含めて6名です。
さて、今年の例会は、アイルランドのNewmarcket-on-Fergusという町にある古城を改造したDromoland Castleというホテルで行われました(図1、2)。

 

図1 Dromoland Castle Hotel                      図2 ホテル内ティールーム

成田からロンドン経由で、Shanonという空港で降り、そこからタクシーで約20分のところでした。18ホールのゴルフ場を含む広大な敷地内に蒼然とたたずむ城のたたずまいは、いかにも歴史を感じさせるアイルランドならではの風景でした。部屋も広く、設備はRitz-Carlton並みの豪華さでしたが、アングル矯正歯科学会の特別割引により、一泊209ユーロで宿泊することができました(それでも高い)。アイルランドの伝統的朝食(図3)もいただきましたが、アメリカン・ブレックファーストの原型になっているせいなのか、あまりかわり映えはしませんでした。ちょっとがっかり。

 

図3 伝統的アイルランド朝食        図4 ミーティング風景


会員による講演は29日と31日に行われました(図4)。45分の持ち時間での発表でしたが、それぞれ一家言を持つ矯正歯科医だけあって、視点や発想がユニークでした。その中でオクラホマ大学を退職したばかりのDr. Ram Nandaによる「My 50 Years in Orthodontics」と題する講演は、とても感銘深いものでした。とりわけ、1950年代にインドからアメリカに渡り、大変な苦労をされて地位を築かれたという話は、アメリカンドリームを地で行くサクセスストーリーにも聞こえましたが、現在の矯正歯科が必然的にこうなったのではなく、彼のような真摯な先人たちの努力によって作られたものであることを強く認識させられました。と同時に、現在を生きる私たちが現在を享受するだけでなく、進行形で歴史を作り、よりよい医療を提供するために次世代につなぐという意識をもてというメッセージをいただいたような気がしました。このような話を聴く機会が得られたのはアングル矯正歯科学会ならではのことでした。
30日は参加者全員で近郊へバスツアーを行いました。見所は、リアス式海岸のモラーの断崖(図5)でしたが、周囲には樹木が一切無く、とにかく荒涼とした風景が延々と続いておりました。その日の天候は晴れであったからまだしも、もし曇天や雨だったら相当に陰鬱な雰囲気になっていたことでしょう。

 

       図5 モラーの断崖

帰途にホテルからShannon空港に向かおうとした時に、偶然Prof. Burstoneのタクシーに同乗することになり、話の中で彼はこの4月で79歳になることをしりました。何と私よりも20歳も年上。にもかかわらず眼と話に力があるし、今なお世界各地で講演し続けている気力と体力は大したものです。タクシーを降りてチエックインカウンターに向かう時も、二つの大きなトランクを一人で引っ張って行きました。体力の秘訣を聞いたところ、週4回は5 kmのジョギングを続けているとのこと。まさに継続は力なりです。
ところで、Prof. BurstoneがShannon空港から向かった先は、パリのOlivierに招かれて、私も1月に行った継続教育での一日講演でした。何たる偶然。

投稿者 菅原準二 : 2007年04月01日 08:15

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