きょうの矯正歯科
このタイトルは、私が日頃尊敬申し上げている中里信和先生(財団法人広南会広南病院・臨床研究部長)の「きょうの脳磁図」からのパクリです。「きょうの矯正歯科」という語呂合わせは結構イケるのではないかと思ったのが始まりです。とは言っても、それではいささか話が大きく不遜なってしまうので、ささやかなブランド名と勝手に思っているSASを右肩に載せてカスタマイズすることにしました。
このブログの主である私こと菅原は、なぜか矯正歯科という分野に首を突っ込んでしまい、以来34年間、この業界で棲息しています。いつしか齢を重ねるごとに矯正歯科がとても興味深い医療分野であることを認識するようになり、ここに至るまで職業選択に後悔することもなく仕事をさせていただきました。すべて、これまでに出会った患者さんや親御さん、恩師、先輩、仲間、後輩のお陰と感謝しています。矯正歯科の何がそんなに興味深いのか、なぜ34年経ってもワクワクとして仕事ができるのかについては、とても一言では言い表せません。そこで、このブログを通じて、その辺のところを少しでもお伝えできれば思っています。
2007年12月07日
第15報 オランダでの外科矯正シンポジウム(BSSO)
2007年11月29日と30日にオランダのハーレムで開催された2007 Biennial Symposium Surgical Orthodonticsにおいて講演をしてきました。ハーレムと言えばニューヨークを思い浮かべるかも知れませんが、ニューヨークのハーレムはHarlemで、オランダのハーレムはHaarlemとスペルが少し違いますが、ニューオークのハーレムの語源になっているとのこと。ハーレムはアムステルダムせいの郊外にある閑静な町で、聖バフォ教会,グローテ・マルクト広場,テイラー美術館など,主な観光名所は徒歩で数分の所に集中しています。ハーレムのかつての繁栄ぶりは、空に向かってそびえ立つ聖バフォ教会から容易に想像されます。その迫力はかつて訪れたことのあるケルンの大聖堂に匹敵します。図1は私が泊まったホテルのカーテン越しに撮影した教会の写真です。教会内部に設置された巨大なパイプオルガンにも驚かされました(図2) 。
さて、BSSOはオランダの外科矯正チームが中心になって隔年開催されています。今回は、私の長年の友人で、このチームに関わりのあるDr.Joop Drenbosの招きによるものです。「包括歯科」「CBCTを用いた診断」「治療計画の立案」「術前矯正」「非外科的治療」「顔面非対称の治療」「開咬を伴ったLong faceの治療」に関する7つのセッションあり、私はこのうちの3つのセッションでSurgery First、SASによる開咬の治療、成長期/成人期の下顎前突治療についてそれぞれ30分ずつ話をさせていただきました。
私以外では、Dr. G William Arnett、Dr. Vincent Kokich、Prof. Ravi Nanda、Dr. James Mah、Dr. Monica Palmerなどのビッグネームが講演者として招待されていましたが、彼らとはもう何度か他の学会やシンポジウムでも顔なじみになっており、その分だけリラックスした気分で講演をすることができました。それぞれ興味ある内容でしたが、とりわけDr. Palmerの「外科矯正治療計画における失望(Disappointments in Orthognathic planning)」と題した講演が印象に残りました。顎変形症の外科矯正治療においては手術失敗もさることながら、治療計画を立てる段階での失敗が見逃せない事実として存在するという問題提起でしたが、私も同じ思いを抱いていただけにとても納得できる内容でした。彼女はベルリンで開業している矯正歯科医で、
外科矯正を含む包括歯科を中心に診療をしていますが、同時にプロの画家でもあります。顎変形症の治療では、かみ合わせだけではなく容貌も扱うため、正解が分からない中で治療ゴール設定を強いられることから、術者にはスキル以外に芸術的センスが要求されます。患者の失望の多くは容貌に向けられることから、彼女の問題提起はいかにも芸術家らしい“ものの見方”を感じさせるものでした。
投稿者 菅原準二 : 14:32 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年11月30日
第14報 第7回インプラント矯正研究会セミナー
インプラント矯正とは、各種インプラントを歯を移動するための固定源に利用するという画期的な治療法を意味します。インプラント矯正を歯科臨床において適切に定着させるため、当時インプラント矯正を手掛けていた臨床医が中心になって、2000年にインプラント矯正研究会を設立しました。そして情報交換の場として年1回のセミナーを10年限定で開催することにしました。当時、矯正用固定源に応用されていた材料はサンキン社製のミニインプラント(K1)とミニプレート(SMAP)しか販売されていなかったことから、サンキン社に事務局を置いて第1〜5回セミナーを開催しました。その後、サンキン社以外の製品も販売されるようになったことから、昨年から事務局をカノミ矯正・小児歯科クリニック(姫路市)に移して第6回セミナーを開催しました。そして、今年から当院SAS矯正歯科センターに事務局を移し、残り4回のセミナーの企画運営に当たることになりました。
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2007年11月10日
第13報 チャイルドライフ支援ボランティア講座
10月28日に、私が関わっているNPO法人ワンダーポケット(http://www.w-p.jp/)主催による2007年度のボランティア講座が仙台厚生病院・海老名ホールで開催されました(図1)。本講座は「すべての子どもたちに命の輝きを」というワンダーポケットの理念に基づくNPO活動の一環で行われているものです。病気や障害を抱えた子どもへの支援だけではなく、その兄弟姉妹やご両親への支援をも視野に入れたボランティアを養成することが目的です。
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投稿者 菅原準二 : 11:46 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年10月20日
第12報 第89回アメリカ口腔外科学会での講演
5月以来、久々の外国講演でしたが、ハワイで開催された第89回アメリカ口腔外科学会に出席してきました。今回は、アメリカだけでなく、日本と韓国を交えた初めてのジョイントミーティングでしたので、日本からも多くの口腔外科医が参加しておりました。7-8日に東京でDr. PancherzによるHerbst applianceのセミナーに参加して、その足で成田からホノルルに発ちました。口腔外科学会ですから、私のような矯正歯科医の参加はほとんどない訳ですが、今回出席した理由は、ワシントン州立大学口腔外科のDr. Jessica Leeからの依頼で、二人で「Skeletal Anchorage System: Clinical Protocols for Surgeons」というテーマでミニレクチャーをしようというお誘いを受けたからです。美しい韓国系アメリカ人の女医さんなので断れませんでした(図1)。
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2007年08月12日
第11報:ある再治療症例の治療を終えて(2)
再治療とは何かについては第3報(2007年2月23日)で詳しく述べましたので、知りたい方はそちらをご覧下さい。ここでは、最近治療を終えた再治療例を紹介します。このクライアントをMさんと呼ぶことにします。きっかけは顎関節症状でした。その治療を求めて近くの病院歯科を訪れたところ、かみ合わせの異常を指摘され。紹介されて私のところにやってきました。Mさん(22歳女性)のお話しによれば、小学生の頃に関東の某大学歯学部附属病院矯正歯科において反対咬合の本格的治療を受けた経験があるとのことでした。図1は、初診時に撮影したお口の写真ですが、前歯部開咬と反対咬合を呈していました。上下顎の第一小臼歯が4本なかったことから、マルチブラケット装置による治療がなされたことが想像できました。また、X線写真から上下顎切歯の歯根吸収が著しいことも分かりました。治療前の状態が知りたくてMさんにお願いしましたが、残念ながら、もう10年以上前のことなのでその大学病院に資料は保存されていないとのことでした。
図1 再治療開始直前の状態
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投稿者 菅原準二 : 09:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年06月10日
第10報 口腔成育シンポジウムでの講演
仙台口腔成育シンポジウム・ファイナルが6月2・3日に仙台弁護士会館において開催されました(図1)。主催は仙台を中心にした歯科医グループで、今年は5年間限定開催の最終年ということでファイナルと銘打っていました。口腔成育とは、子どものバイオ・サイコ・ソーシャルに関わる包括的歯科医療や支援を意味し、子どもの継続的なお口のケアを通じて心の発達(セルフケア確立や自立)にも寄与することを目的としています。そして自分たちの身体や心を大切にしようとするマインドが次世代に継承されることへの期待もその中に込められています。
図1 代表挨拶
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2007年05月21日
第9報:The Dewel Awardの受賞
これは実にサプライズでした。
2007年の B.F. and Helen E. Dewel Award (通称The Dewel Award)が私たちの論文に与えられることになったからです。The Dewel Awardとは、矯正歯科学分野のトップジャーナルであるAmerican Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics (AJO-DO)が、その前年に掲載された全論文の中から、最優秀論文が選ばれて贈られる賞で、AJO-DOの賞としては最も権威のある賞とされています(図1)。授賞対象になった私たちの論文とは以下のような論文でした。
Sugawara J, Kanzaki R, Takahashi I, Nagasaka H, Nanda R : Distal movement of maxillary molars in nongrowing patients with the skeletal anchorage system, Am J Orthod Dentfac Orthopedics 129;723-733, 2006.
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投稿者 菅原準二 : 19:11 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年05月20日
第8報:アメリカ矯正歯科学会(AAO) での招待講演
AAOの年次大会は世界最大規模の学術大会で、参加者はアメリカ国内にとどまらず、世界各国から毎年約2万人の会員が集まります。今回で107回目の年次大会であることからしても、いかに伝統のある大会であるかが伺えます(図1)。私の年次大会での招待講演は、2000年シカゴ、2002年フィラデルフィア、2006年ラスベガスに続いて今度のシアトルで4回目ですが、その度に緊張を強いられています。講演後に聴衆による評価がなされ、その採点表が数ヶ月後に講演者に送られてくるからです。評価が低い場合は、以後、招待講演の機会が少なくなるという厳しさです。コンテンツが大事なのは当たり前のことですが、英語の発音が悪くて出席者に内容が伝わらないというのも減点の対象で、日本人だから発音は大目に見て欲しいという甘えは通らないようです。私を含め、日本人にとっては辛いことですが、世界の共通言語が英語になっている現在、避けることのできないハードルなのです。だから、若い日本の矯正歯科医には、英語力を付けるための継続的努力をしなさいと、いつも口が酸っぱくなるほど言っているのですが、きっと彼らには現実味もなく、危機感もない話に聞こえるのでしょうね。
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投稿者 菅原準二 : 18:41 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年05月17日
第7報:コネチカット大学での講義
5月15日にレンタカーを運転してボストン(マサチューセッツ州)からファーミングトン(コネチカット州)に向かいました。フリーウェイの91 Westから84 Southに乗っての約2時間のドライブでしたが、天候は快晴で、新緑が太陽に輝いて、とても清々しい気分で気持ちよく運転できました。そして、医学部と歯学部そしてそれぞれの附属病院や研修施設などが組み込まれたUniversity of Connecticut (UCONN) Health Center(図1)に無事到着しました。
投稿者 菅原準二 : 18:07 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年05月15日
第6報:16th International Symposium での招待講演と・・・
ボストン大学が主催するインプラントロジーのシンポジウムに招待され(図1)、5月13日にサンフランシスコ経由でボストンに飛び、その日の夜10時頃にホテルであるBoston Marriotte Long Warfに到着しました。その時、古い友人でYonsei大学(韓国)の学部長でもあるDr. Young Chel Parkとばったりと出会いました。彼と暫く雑談をした後に部屋に入りましたが、すでに外食するような時間ではなかったので、ルームサービスを頼むことにしました。注文したのは、ボストン名物のクラブケーキ(蟹肉を固めて焼いたもの)とクラムチャウダー(図2)。久しぶりだったことと、お腹がすいていたこともあってか、とても美味かった。
図1 プログラム 図2 クラブケーキとクラムチャウダー
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投稿者 菅原準二 : 17:38 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年04月16日
第5報:21st Biennial Growth Seminarでの招待講演
ニューヨーク州とコネチカット州の矯正歯科医らによって構成されているNew-Conn Orthodontic Foundationという組織が、2年毎に42年間にわたってセミナーを主催してきました。今回は第21回セミナーになりますが、世界のトピックにもなっているインプラント矯正(TADs)が取り上げられ、「Temporary Anchorage Device and Implants in Orthodontics: When, Where, and Why Not?」というテーマで、ニューヨーク州White Plainsにおいて開催されました(図1)。招待講演者は、Dr.Anthony Gianelly、 Dr.Vincent Kokich、Dr.Giuliano Maino、Dr.David Sarver、Dr.Junji Sugawara(私)、Dr.Bjorn Zachrissonの6名でした。オペラの世界で言えばパヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラスという三大テナーが一同に会したような豪華な顔ぶれで、この種のセミナーでは異例の400名を超える受講者が全米各地から集まるという盛況ぶりでした(図2)。
図1 リーフレット 図2 セミナー会場
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2007年04月01日
第4報:アングル矯正歯科学会の年次例会に出席
The Edward H. Angle Society of Orthodotists、すなわちアングル矯正歯科学会は、近代歯科矯正学の父と呼ばれているE.H.Angleにちなんで設立された学会です。East, Midwest, North Atlantic, Northern California, Northwest, Southern California, Southwest という7つの支部に分かれており、企画運営はそれぞれの支部が独自に行っています。2年に1度、全体の集会があります。
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2007年02月23日
第3報:ある再治療例の治療を終えて(1)
◆再治療とは
「再治療学」というテーマは、ここ数年の私の関心事の一つで、昨年10月に横浜で開催された第34回日本臨床矯正歯科医会大会において「再治療症例から見えてきたこと -確実で安全な矯正治療を目指して-」というタイトルで特別講演を行いました。再治療の定義は「マルチブラケット装置を用いて永久歯列の全体的な咬合構成を図ったにもかかわらず、満足な治療結果が得られなかった場合や、治療後に何らかの要因で不正状態が再発してしまった場合に、患者あるいは術者側の希望に基づいて、再びマルチブラケット装置による本格的治療を行うこと」(2006菅原)です。再治療という言葉は少し和らげた表現で、実際は失敗症例のリカバリー治療を意味しています。
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2007年02月11日
第2報:退官記念感謝会
昨年12月31日付けで私が東北大学を辞めたという話は先にしましたが、後輩の有志が中心になって呼びかけを行い、2月11日に私の退官記念感謝会を開催してくれました。会場は勝山館(しょうざんかん)。私は出席者が約180名を数えたことにまず驚きました。事務局からは呼びたい人を全部呼んで構わないからと言われて名簿を渡したものの、連休の中日でもあり、出席者はそれほど多くはないだろうと思っておりました。嬉しかったですね。
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2007年01月28日
第1報:フランス矯正歯科学会・継続教育コースでの招待講演
フランスの矯正歯科学会では、今年から国内外から講師を招いて会員向けの継続教育コースを開始することになったとのことで、その皮切りとして私が招聘されました。(図1)
図1 プログラム
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投稿者 菅原準二 : 15:44 | コメント (0) | トラックバック (0)
